自動車メーカー各社は、欧州を中心にCO2排出量の削減に取り組んでおり、電気自動車の開発に力を注いで競争が激化しています。
新聞・TVなどでも多く電気自動車が取り上げられており、電気自動車に興味を持っている方も少なくないですよね。
この記事では、世界・日本の電気自動車メーカー主要12社を一覧にして紹介し、各社の今後の戦略についても解説しています。
読み終えれば、あなたもどんな電気自動車メーカーが、どんな車種を販売しているか理解できるので、ぜひ参考にしてみてください。
※当記事では「電気自動車=BEV(純正電気自動車)」と定義しています。PHEV・HCVは定義外ですのでご了承ください。
2022年は世界各社でEVリリースが相次ぐ見込み
2022年は世界各社で新車EVの販売が相次ぎ、これまでよりも多くの方が電気自動車を購入することになることが見込まれています。
しかし欧州連合は2021年4月に「2035年までに欧州で全てのガソリン車の新車販売を禁止する」という方針を策定。
この影響を受けた欧州メーカーは、即座にEV化に舵を切ることを余儀なくされ、中国・北米、そして日本でも各社EV開発を急ピッチで進めています。
直近だと、日産「アリア」・トヨタ「bZ4X」などの新車種が国内で販売開始され、2022年はより多くのメーカーが販売を促進することが予想されます。
もしEV購入を考えているのであれば、来年以降の購入が望ましいかもしれません。
電気自動車世界ランキングで日本メーカーはTOP10圏外
2020年にEVsalesから世界の電気自動車販売数ランキング(PHEV含む)が発表され、アメリカのテスラが見事1位に輝きました。
TOP10に欧州・中国メーカーがひしめく中、日本のメーカーはほぼ圏外。
14位に日産、16位にトヨタと、国内大手メーカーもいかに世界と電動化において差をつけられているかが分かりますよね。
かつて一時代を築いた、日本の自動車メーカーは、EV時代から取り残される危機を迎えているとも言えるのです。
世界の電気自動車メーカー主要8社一覧
まず日本国外、欧州のメーカーを中心に、電気自動車を販売しているメーカー主要8社を一覧で紹介しています。
- テスラ
- BMW
- フォルクスワーゲン
- プジョー
- メルセデス・ベンツ
- ポルシェ
- アウディ
- ジャガー
販売モデルなど詳細は、各メーカーの電動化事情について、より詳しく解説した記事を、ぜひ参考にしてみてください。
テスラ
モデル3 | モデルX | モデルS | |
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画像 | 引用元:テスラ Model3 | 引用元:テスラ モデルX | 引用元:テスラ モデルS |
現行生産 | ◯ | ◯ | ◯ |
販売年 | 2021年 | 2019年 | 2019年 |
販売価格 | 4,390,000円~ | 11,100,000円~ | 10,350,000円~ |
バッテリー容量 | 54kwh | 100kwh | 100kwh |
航続距離 | 423km | 491km | 610km |
電費 | 約6.7km/kwh | 約4.23km/kwh | 約5.36km/kwh |
急速・普通 | 急速◯ 普通◯ | 急速◯ 普通◯ | 急速◯ 普通◯ |
世界の電気自動車の販売台数において、常に1位を獲得し続けている、イーロン・マスク氏の「テスラ」。
テスラはハイエンドモデルのモデルX・モデルSが富裕層を中心に人気で、廉価モデルのモデル3も売れ行きが好調です。
日本・中国などのアジア市場にも注目しており、各地で充電スタンドの設置などに取り組んでいます。
BMW
i3 | iX | |
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画像 | 引用元:BMW公式サイト | 引用元:BMW公式サイト |
現行生産 | ◯ | 2021年末発売予定 |
販売価格 | 5,050,000円~ | 11,550,000円~ |
バッテリー容量 | 42.2kwh | 71kwh |
航続距離(WLTC) | 360km | 425km |
電費 | 約8.5km/kwh | 約5.9km/kwh |
急速・普通 | 急速◯ 普通◯ | 急速◯ 普通◯ |
日本国内でも非常に人気の「BMW」は、欧州メーカーにおけるEVの先駆者でもあります。
まだEVの走行距離が短かった時代から、コンパクトなボディで街乗り(シティビークル)を目的とした「i3」を発売して、一部ファンに愛されてきました。
今後はSUVモデル「iX」を中心に、販売台数を伸ばしていく予定で、各カテゴリで電気自動車が導入されることでしょう。
フォルクスワーゲン
e-Golf | |
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画像 | 引用元:ヴォルクスワーゲン |
現行生産 | 2020年販売終了 |
販売年 | 2014年 |
販売価格 | 499万円~ |
バッテリー容量 | 35.8kwh |
航続距離(JC08) | 301km |
電費 | 約8.4km |
急速・普通 | 急速◯ 普通◯ |
フォルクスワーゲンは意外にも、欧州の自動車メーカーの中ではあまり先進的な電気自動車メーカーではありませんでした。
これまでのラインナップには「e-Golf」のみで販売も終了しており、電気自動車メーカーとしての印象は少なかったのは事実です。
しかし2020年のランキングを見て分かる通り、電気自動車メーカーテスラに次ぐ2位にランクインしています。
2020年から欧州のみで販売開始している新車種「ID.3」が、非常に人気を博し、2021年8月には欧州で最も売れたEVとして知られるように。
日本での販売はまだ先になりそうですが、今後「ID.」シリーズは販売加速していく見込みですので、今後に期待しておきましょう。
プジョー
e-208 | e-2008 | |
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画像 | 引用元:プジョー公式サイト | 引用元:プジョー公式サイト |
現行生産 | ◯ | ◯ |
販売年 | 2020年 | 2020年 |
販売価格 | 398万円〜 | 477万円〜 |
バッテリー容量 | 50kwh | 50kwh |
航続距離 | 380km | 385km |
電費 | 約7.6km | 約7.7km |
急速・普通 | 急速◯ 普通◯ | 急速◯ 普通◯ |
トレードマークである、ライオンのロゴが入ったクルマが、日本でも人気のプジョー。
現在2車種ほどBEVをラインナップしており、欧州での販売台数はフォルクスワーゲンに次ぐ2位と非常に好調です。
会社としても2025年までに世界での新車販売100%を電動化することを発表し、電気自動車専門メーカーになっていくことが予想されています。
メルセデス・ベンツ
EQA 250 | EQC 400 | |
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画像 | 引用元:メルセデス・ベンツ EQA | 引用元:メルセデス・ベンツ EQC |
現行生産 | ◯ | ◯ |
販売年 | 2020年 | 2019年 |
販売価格 | 6,400,000円~ | 10,800,000円~ |
バッテリー容量 | 66.5kwh | 80kwh |
航続距離 | 377km | 400km |
電費 | 約5.7km/kwh | 約5.0km/kwh |
急速・普通 | 急速◯ 普通◯ | 急速◯ 普通◯ |
日本においても、高級車として一定の地位を築いている、メルセデス・ベンツ。
ガソリン車のモデルを、そのまま電動化させるという方針で「EQA」「EQC」をリリース済み。
現在発売されているBEVは2車種にとどまっていますが、今後はほぼすべてのカテゴリでEV車種を投入する予定です。
ポルシェ
タイカン(ベースモデル) | |
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画像 | 引用元:ポルシェ・ジャパン |
現行生産 | ◯ |
販売年 | 2021年 |
販売価格 | 11,710,000円~ |
バッテリー容量 | 79.2kwh |
航続距離 | 354km(WLTP) |
電費 | 約4.46km/kwh |
急速・普通 | 急速◯ 普通◯ |
超高級ブランドとしても人気が高い「ポルシェ」は、2020年に発売されたBEVモデル「タイカン」が欧州を中心に大人気。
テスラ「モデルS」に並ぶ、高級スポーツカーEVというだけあって、かなりの販売台数を叩き出しています。
今後はSUV車種でも電動化を図る見込みで、ますます高級車EVブランドとして販売台数を伸ばしていくことが予想されるでしょう。
アウディ
e-tron GT quattro | RS e-tron GT | e-tron 50 quattro | e-tron Sportback 50 quattro | |
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画像 | 引用元:アウディ公式サイト | 引用元:アウディ公式サイト | 引用元:アウディ公式サイト | 引用元:アウディ公式サイト |
現行生産 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
販売年 | 2021年 | 2021年 | 2021年 | 2021年 |
販売価格 | 13,990,000円〜 | 17,990,000円~ | 9,330,000円~ | 11,430,000円~ |
バッテリー容量 | 93.4kwh | 93.4kwh | 71kwh | 71kwh |
航続距離 | 534km | 534km | 335km | 335km |
電費 | 約5.7km/kwh | 約5.7km/kwh | 約4.5km/kwh | 約4.5km/kwh |
急速・普通 | 急速◯ 普通◯ | 急速◯ 普通◯ | 急速◯ 普通◯ | 急速◯ 普通◯ |
エンブレムの4リングが、高級感のある印象を生み出してくれるアウディ。
アウディも実は、2026年以降販売される全ての車種をEV化していると発表しているメーカーです。
既にBEVシリーズ「e-tron」で多数のモデルをラインナップしており、今後も積極的に電動化モデルを増やしていく見込みです。
ジャガー
I-PACE | |
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画像 | 引用元:ジャガー公式サイト |
現行生産 | ◯ |
販売年 | 2019年 |
販売価格 | 10,050,000円 |
バッテリー容量 | 90kwh |
航続距離 | 377km |
電費 | 約4.2km/kwh |
急速・普通 | 急速◯ 普通◯ |
ジャガーも他メーカーと同様に、2025年までに全てのモデルをEV化するという旨を宣言しています。
同社初となるBEVモデル「I-PACE」を2019年に販売開始し、欧州で高い評価を受けており、今後もますます多数モデルでEVが展開されていく見込みです。
日本の電気自動車メーカー主要5社一覧
国内の各社自動車メーカーにおいても、既に電気自動車の開発・販売競争が激化し始めています。
おそらく国産車を選びたいという方が大半のはずなので、ぜひ国内メーカーについても確認してみましょう。
- 日産
- 三菱
- ホンダ
- トヨタ
- スバル
日産
リーフ(S) | アリア(B6) | |
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画像 | 引用元:日産公式サイト | 引用元:日産公式サイト |
現行生産 | ◯ | ◯ |
販売年 | 2017年 | 2022年予定 |
販売価格 | 3,326,400円 | 5,390,000円~ |
バッテリー容量 | 40kwh | 66kwh |
航続距離 | 322km | 430km |
電費* | 約8.0km/kwh | 約4.7km/kwh |
急速・普通 | 急速◯ 普通◯ | 急速◯ 普通◯ |
2010年に世界初の量産型電気自動車「リーフ」を販売してから、業界を牽引してきた日産自動車。
モデルチェンジを繰り返しながら、走行性能を高めてきた新型「リーフ」に加え、SUVタイプの「アリア」も売れ行きが非常に好調です。
実際に「アリア」の販売開始となる2022年は、三菱と共同開発中の軽自動車EVも発表予定なので、大きな動きに注目してみましょう。
三菱
MINICAB-MiEV | MiEV | |
---|---|---|
画像 | 引用元:三菱自動車 | 引用元:三菱自動車 |
現行生産 | ◯ | ×(2020年終了) |
販売年 | 2020年 | 2018年 |
販売価格 | 2,431,000円~ | 3,003,000円~ |
バッテリー容量 | 16kwh | 16kwh |
航続距離 | 83km | 164km |
電費 | 約5.18km/kwh | 約5.36km/kwh |
急速・普通 | 急速◯ 普通◯ | 急速◯ 普通◯ |
三菱自動車は、EV系だけでなく自動車メーカーとしても、いわば窮地に立たされているメーカーです。
PHEV「アウトランダー」は好調ですが、BEVは「i-MiEV」が生産終了し、業務用バン「MINICAV-MiEV」が販売されているのみ。
他車種はあまり人気がなく、来年に日産との共同開発で発売される、軽自動車EVに望みをつなげている状況です。
ただ軽自動車EVは日本の未来を変えるクルマになりえるので、三菱自動車の今後に注目しましょう。
ホンダ
Honda e | |
---|---|
画像 | 引用元:ホンダ公式サイト |
現行生産 | ◎ |
販売年 | 2020年10月 |
販売価格 | 4,510,000円 |
バッテリー容量 | 35.5kwh |
航続距離(JC08) | 283km |
電費 | 約7.97km |
急速・普通 | 急速◯ 普通◯ |
ホンダは国内メーカーの中で、唯一「2040年までに世界で販売する四輪車をEV・FCVにする」というビジョンを発表しています。
現状は、まだ「Honda e」の1車種のみのラインナップですが、今後大きく方向転換を図ることが予想されます。
日本はトヨタを中心にPHEV・FCV・PHVなど様々な手段を軸に、カーボンニュートラルを図るべきだとの声が強いのが現状。
同業他社・世論の声をはねのけて、EVメーカーになり得るのか注目が集まっています。
トヨタ
C+pod | bz4X | |
---|---|---|
画像 | 引用元:トヨタ公式サイト | 引用元:トヨタ公式サイト |
現行生産 | ◯ | ◯ |
販売年 | 2020年 | 2022年半ば |
販売価格 | 1,650,000円 | 未定 |
バッテリー容量 | 9.1kwh | 71.4kwh |
航続距離 | 150km(WLTC) | 500km |
電費 | 約16km/kwh | 約7.4km/kwh |
急速・普通 | 急速◯ 普通◯ | 急速◯ 普通◯ |
日本最大手の自動車メーカートヨタは、全てのクルマを電気自動車にすることについては懐疑的な見方を示しています。
あくまでもHV・PHEV・FCVなど様々な車種を導入しつつ、カーボンニュートラルを実現すべきという意見が強く、ラインナップもこれまで業務用「+C Pod」しかありませんでした。
しかし2021年11月に、ついにスバルと共同開発した電気自動車「bz4X」を発表。
電動化モデル「bz」シリーズは今後も、多数ラインナップ予定であり、巻き返しに期待が高まっています。
スバル
ソルテラ (2WD) | |
---|---|
画像 | 引用元:スバル公式サイト |
現行生産 | 生産予定 |
販売年 | 2020年央予定 |
販売価格 | 未公表 |
バッテリー容量 | 71.4kwh |
航続距離 | 530km |
電費 | 約7.4km/kwh |
急速・普通 | 急速◯ 普通◯ |
「安心と愉しさ」をテーマに開発を続け、国内でも水平対向エンジンに代表される、エンジン技術に重きをおいてきたスバル。
電気自動車にエンジンはなく、いかにスバルらしさを維持するかがテーマであり、大きな課題とされてきました。
そんなスバルも、2021年11月にトヨタと共同開発した電気自動車「ソルテラ」を発表。
今後の時代を担う車種が、国内でどのくらい評価されるのか、今後の動向に注目したいところです。
まとめ|世界中の電気自動車メーカーの動向に注目すべし
今後、世界・国内問わず、各自動車メーカーで電動化の動きは、ますます活発になっていくことが予想されます。
現在1位のテスラは、おそらく今後もトップを走り続けますが、それに追随する欧州・中国各社メーカーも2022年以降は大きな動きを見せてくるでしょう。
すでに「EV後進国」のレッテルを貼られかけている日本国内メーカーは、今後どのように各社と渡り合っていくかが注目されます。
電気自動車の購入を検討している方は、今後も国内外メーカーから発表される情報に期待しましょう。