日本では、2030年代に日本国内すべてのガソリン車の販売はなくなり、電気自動車(EV)だけが製造・販売されることが既に決定しています。
他のクルマと同様に、軽自動車も電気自動車(EV)に変わることで、走行距離やバッテリー、販売価格など、これまでと違った点も増えるはず。
この記事では、軽トラの電気自動車(EV)について興味を持っている方に向けて、
- 軽トラが電気自動化する背景
- 少しでも安く手に入れる方法
を徹底解説しています。
読み終えれば、軽トラの電気自動車(EV)を購入するべきなのか答えが見つかるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ガソリン車から電気自動車(EV)に移行している背景
最近はニュースや広告で、電気自動車の話題を目にする機会が増えてきていますよね。
各メーカーがさまざまなモデルの車種を発表しているため、自動車は電気で走る時代が一般化してきているように感じる方もいるかもしれません。
電気自動車(EV)が普及してきている背景には、「各国の環境への配慮による規制強化」があります。
世界中で大気汚染は深刻な問題になっており、ガソリン車の電動化(EV)が解決手段としてあげられました。
例として、ヨーロッパの国の中では温暖化対策として、電気自動車(EV)への優遇措置が取られています。
また中国では政府が電気自動車(EV)の開発を後押ししており、2018年時点でメーカーに1台あたり約50,000元(約82万円)の補助金を支給しました。
政府からのインセンティブによって中国の自動車産業は後押しされ、結果として新車の小型電気自動車(EV)が48万円で購入できるようになりました。
日本でも脱炭素社会の実現に向けて、ガソリン車から電気自動車(EV)にシフトする動きが活発です。
菅前総理は2021年1月に「2035年までに新車販売の100%を電気自動車(EV)にする」と表明し、国として表明したことがきっかけで、日本でも各メーカーの電気自動車(EV)開発は加速しています。
軽トラが電気自動車(EV)になると起きる変化
2030年代にガソリン車の販売が電気自動車(EV)にシフトしていく中で、軽トラが電気自動車(HV)になると何が変わるのでしょうか。
ここでは、電気自動車(EV)になると起きる変化について紹介していきます。
販売価格が高くなる
2021年11月20日に、HWエレクトロ株式会社が、軽トラ電気自動車「ELEMO-K」を発表しました。
受注を始めたELEMO-Kは「2,497,000円」で販売されています。
軽トラをガソリン車として販売した場合の平均額が1,200,000円なので、非常に高額です。
なのでエコカー減税と補助金を利用することで購入へのハードルを下げられますが、現状は高額な買い物と言えるかもしれません。
航続距離が短くなる
先ほどの「ELEMO-K」の場合、一充電航続距離は6〜8時間充電で最大120kmです。
一方でガソリン車の場合、スズキ株式会社の「キャリイトラック」では、34リットル満タンで航続距離は686km。
つまり「キャリイトラック」より「ELEMO-K」の方が満タン(満充電)時で比べて、約5分の1の距離しか走れません。
経済的で家計に優しい
同じ距離を走った場合、走行にかかる電気代はガソリン代よりも安価です。
バッテリーの状況や1リットルあたりの燃料費によって多少の違いはありますが、一般的な電気契約の場合、100km走るごとに電気自動車(EV)の方が約490円安くなります。
またエンジンフィルターやエンジンオイルなどの交換にかかっていた費用が、電気自動車(EV)にはありません。
バッテリー交換費はかかりますが、ガソリン車と比べて部品の数が少ないので、家計に優しく経済的といえるでしょう。
軽トラを電気自動車(EV)で購入する際の注意点
紹介した「ELEMO-K」だけでなく、軽トラ電気自動車(EV)を購入した場合、費用面でのハードルが高いことが分かりました。
とは言っても、2030年代にはガソリン車がなくなり、電気自動車(EV)のみの販売になるので、少しでも安く手に入れたいと思う方もいるでしょう。
次の章では、いざ購入しようとする場合に、注意しておきたいポイントをご紹介します。
補助金や減税サービスを利用する
環境省が発表したデータによると、2022年度から軽の電気自動車(EV)に対して購入補助を開始します。
国の補助によって、購入者側の負担額が200万円を下回ることを目標にしているとのことです。
外部リンク:軽EV普及へ購入補助 200万円切り目指す―環境省
また、環境性能が高い車両購入者を対象に、自動車税が75%軽減される「グリーン化特例」と、初回車検時まで自動車重量税が免税される「エコカー減税」があります。
軽トラ電気自動車(EV)の購入時に使える補助金
軽トラ電気自動車(EV)を購入するには「ELEMO-K」の場合、2,497,000円になるとお伝えしました。
ガソリン車と比べても2倍ほど価格差があるので、「軽トラ電気自動車(EV)に興味はあるけど、高くて買えない」と諦めてしまう人がいるかもしれません。
しかし高価格が原因で購入を見送るのであれば、諦めるのはまだ早いです。
電気自動車(EV)は購入する際に、国や地方自治体から補助金を受けることができます。
上手に活用することで費用を抑えられる制度なので、それぞれの補助金を見てみましょう。
CEV補助金制度
CEV補助金制度は国や地方自治体が、クリーンエネルギー自動車(Clean Energy Vehicleの略称)購入時の負担軽減を目的とした補助制度です。
電気自動車(EV)以外にも、プラグインハイブリッド車(PHV)や、燃料電池自動車(FCV)、クリーンディーゼル車(CDV)が制度の対象になっています。
軽トラ電気自動車(EV)の補助金額は、最大400,000万円です。(2022年1月時点)
補助金の申請方法や期間、補助金額の上限は年度によって変わるので、気になる方は一般社団法人次世代自動車振興センターを確認してみましょう。
地方自治体の補助金
地方自治体の補助金は都道府県と市区町村の2箇所を併せて、受給できる場合があります。
各都道府県によってルールが違うので、申請前に確認が必要です。
東京都を例にした場合、電気自動車(EV)を購入する際に、通常であれば45万円の補助金を受けられます。(令和3年3月31日まで)
しかし環境省補助を併用すると、金額を60万円まで増額できます。
それ以外の各都道府県の補助金制度については、全国の地方自治体の補助制度・融資制度・税制特例措置ページから見てみましょう。
軽トラ電気自動車(EV)の購入時に使える減税
自動車を購入する際にかかる税金は、
- 環境性能割(旧:自動車取得税)
- 自動車重量税
- 自動車税
の3種類があります。
電気自動車(EV)を購入時には、環境性能割は非課税のため減税の対象にはなりません。
ここでは、自動車重量税と自動車税が減税になる方法を紹介します。
エコカー減税
エコカー減税は自動車の重量に対してかかる税金を、軽減してくれる制度です。
電気自動車(EV)は新車登録時もしくは、初回車検時に軽減率が100%適用されます。
適用期間は2021年5月から2023年4月までなので、覚えておきましょう。
また、ハイブリッド車(PHV)は自動車燃費基準の達成割合に応じて、軽減率が25〜100%と変動します。
グリーン化特例
グリーン化特例は新車登録年度の翌年分の自動車税が軽減される制度です。
軽減率は車両の燃費性能や環境性能に応じて変わりますが、電気自動車(EV)の場合は概ね75%が軽減されます。
対象期間は2021年4月から2023年3月までとなっており、新車で購入した場合のみ、適用されるので注意しましょう。
ハイブリッド車(PHV)やガソリン車は減税対象にならないので、電気自動車(EV)を購入した方がお得と言えますね。
現在国内で販売されている軽トラ電気自動車(EV)
これまで一般家庭用の電気自動車(EV)は発表されていましたが、軽トラ電気自動車(EV)はありませんでした。
そんな中、2021年11月にHW ELECTRO株式会社が、日本発の軽トラ電気自動車(EV)「ELEMO-K」の販売を開始しています。
気になる航続距離や電費など、それぞれのスペックを見てみましょう。
ELEMO-K:HW ELECTRO株式会社
販売年 | 2021年 |
販売価格 | 2,497,000円(税込) |
バッテリー容量 | 13kWh |
バッテリー種類 | リチウムイオン電池 |
航続距離 | 120Km |
車重 | 850Kg |
充電時間 | 6〜8時間 |
積載重量 | 350Kg |
ELEMO-Kは、2021年4月に国内で初めて小型電気商用車として、販売が開始された軽トラ電動自動車(EV)です。
販売価格は「2,497,000円」と軽トラックの値段としては高いですが、国や自治体の補助金を上手く使えば、200万円以下で購入できます。
今後は、インターネットを介したスマートフォンアプリとの連携機能の実装に向けて、開発中とのことです。
また、電気自動車(EV)の移動式エネルギー源という特性を活かした、災害時のエマージェンシーツールとして活躍が期待されています。
軽トラ電気自動車(EV)のこれからの課題
軽トラ電気自動車(EV)はまだまだ「価格が高い」という点が課題です。
ELEMO-Kに限らず、多くの電気自動車(EV)は実用性という面で、リチウム電池を採用していますが、コストが高いため、軽トラ電気自動車(EV)の価格も高くなってしまっているのです。
リチウム電池はリチウムやコバルトなど、電池価格の66%が原材料費を占めているので、原材料費が安くならない限り、軽トラ電気自動車(EV)の販売価格が安くなることは難しいでしょう。
まとめ|2022年はまだ購入を急ぐ必要はない
軽トラ電気自動車(EV)はランニングコストが安く、災害時に重宝されるクルマとして活躍が期待されます。
国や地方自治体の補助金や減税制度を利用することで、少しでも安く購入できるようになってきています。
しかし、いくらランニングコストが安いとしても、初期費用でガソリン車の2倍以上かかる点は、すぐの購入に踏み切れません。
2028年までに日産自動車株式会社は、ガソリン車と同じコストにするために「全個体電池」の開発・生産を目指しています。
軽トラ電気自動車(EV)はこれからも普及が進むと期待できるので、購入コストが下がったタイミングでの購入をおすすめします。