「気が付いたら充電の残量が1桁になっていた」というような場合にも、急速充電があれば安心ですよね。通常の2倍近い速度で充電できる急速充電ですが、仕組みが分からず不安という方もいるのではないでしょうか。今回は、スマホの急速充電についてご紹介します。
スマホの急速充電とは?
急速充電とは、より高い電圧、高い電流を流すことで、通常よりも充電をスピーディーに行う方法のことを指します。
充電器の電圧と電流によって決まる
充電の速度は、基本的に充電器がスマホに送ることができる電圧と電流の量によって変わります。イメージがつかみにくい人は、次のように置き換えて想像してみてください。
水道を使って、空のバケツの中に水をたっぷりと、できるだけ素早く入れようと考えるとき、蛇口を全開にひねったほうが効率がいいですよね。より強く、より多くの水を流すことができれば、多くの水を短時間で蓄えることができます。
このときに、水を押し出している力が電圧で、水の流れが電流と考えてください。空のバケツは充電池だと考えれば、イメージしやすいでしょう。
充電器の場合、電圧、電流を決められるのは、基本的に充電器の性能です。そのため、高速充電をするためには、高電圧・高電流が出力できる充電器が必要になります。
スマホの性能にもよって最大の充電速度は変わる
充電器の性能によって左右される充電速度ですが、電気を受け取る側のスマホの性能によっても左右されます。
先ほどのたとえで言うと、バケツと蛇口の間に細いホースがつながっている場合、いくら水道が高水圧・高水流で水を送り出しても、バケツには水が溜まりにくくなってしまいます。
同じように、スマホや充電池の性能によっては、充電器の急速充電スペックを完全に再現することができないケースもあるのです。
現状はiPhone4規格、Android4規格
現在のスマホ用充電器は、iPhone用、Android用ともに4規格存在しています。
iPhone用は、5V/1A、5V/2.1A、5V/2.4A、9V/2Aの組み合わせです。一般的な充電器は5V/1Aですが、計算上最も素早く充電できるのは9V/2Aであると考えられます。
Android用は、5V/0.5A(一般的なUSB充電)、5V/1.5A、5V/3A、9V/2Aの組み合わせで、こちらも9A/2Vが計算上は最も素早く充電できることになります。
ただし、上に書いた通り、スマホの性能によっては充電速度に大きな差が出ないこともあります。
スマホの急速充電がスマホに与える影響とは?
「高電圧・高電流によって行う急速充電」と聞くと、スマホ本体に悪影響がありそうな印象を受けるかもしれません。
しかし、実際にはそこまで大きな悪影響はないと考えられています。
高速で充電できる
急速充電を行うと、もちろん高速で充電が完了します。
例えばAndroidで5V/1.5Aの充電を行うと、計算上は通常のUSB充電よりも2~3倍程度充電時間が短くなると予測されます。
緊急時に急いで充電したいときなどは、高速充電がおすすめです。
スマホの寿命には影響なし
急速に充電すると、スマホやバッテリーに悪影響があるのではないかと心配になりますが、問題はありません。
水を大量にバケツに入れても、普通の水道から出る水の勢いくらいでは、バケツ自体が壊れるようなことはないのと同じです。
もちろん、通常の充電方法で充電していくのと同じ程度に劣化していくという点は、注意が必要です。
スマホのバッテリーがすでに劣化している場合は注意が必要?
もし長年同じスマホを使い続けているような場合は、スマホのバッテリー自体に大きな負荷をかけてしまっています。最悪の場合、膨張、破裂、発火などの危険性もあるため注意が必要です。
スマホのバッテリーは、使い続けていくと充電できる容量が少なくなってしまいます。そこに無理やり電気を高出力で流し込むことによって、トラブルが発生してしまうのです。
このようなケースでは、低出力で長時間かけて充電を行えば安心というものではなく、低出力で充電しても同様の問題が発生してしまうおそれがあります。
長年使用したバッテリー、スマホは、できるだけ早めに買い替えるのが安全策だと言えるでしょう。
スマホの急速充電がうまくいかない原因は?
「“高速充電できる”とうたわれた商品を買ったのに、充電の速度が上がらない」という場合は、以下のことを確認してみてください。
まずは充電器の規格を確認
今使っている充電器が、本当に高速充電に対応しているものかどうかを確認しましょう。
充電器本体に、必ずアンペア数(A、電流)とボルト数(V、電圧)が記載されています。高速充電できるのは、5A/1.5V、5A/2.1Vなど、これらの数字が大きいものだけです。
5A/0.5Vや5A/1Vといった充電器では、通常の速度でしか充電ができません。
ケーブルが古い場合は接触が悪くなることも
ケーブル自体が劣化している場合は、充電効率が悪くなってしまいます。
コネクタ部分の劣化や、ケーブル内部での破損などが原因で、充電器が持つ本来の充電性能を発揮できていない可能性があるからです。
もし長年使っている充電ケーブルであれば、断線のおそれもありますので、買い替えなどを検討してみてください。
機種が古い場合は急速充電されない場合がある
スマホ本体の性能によって、急速充電が不可能になっているケースもあります。
最新のスマホであればおそらくほとんど問題にはならないと思いますが、2世代前、3世代前のスマホを使っているようであれば、機種自体が急速充電に対応できていない可能性もあります。
バッテリーが劣化してきている可能性も高いので、最新機種への機種変更なども検討するといいでしょう。
充電している最中は不要なアプリを消しておく
これらの項目をすべて確認しても、まだ充電速度が遅いという場合は、不要なアプリやGPS機能などが起動している可能性があります。
一度スマホ本体の設定から、使っていないアプリの位置情報サービスを削除するか、一時的に使用を停止するように設定して、再度充電してみてください。
モバイルバッテリーでも急速充電対応のものがある
コンセントにつなぐタイプの通常型充電器だけではなく、モバイルバッテリーにも急速充電対応のものがあります。
どのようなモバイルバッテリーを選ぶのがベターなのでしょうか。
購入するときは規格のW数が大きいもの・mAh数が大きいものを選ぶ
モバイルバッテリーを購入するときに高速充電可能なものを狙うなら、まず規格のW数が大きいものというのが必要な条件です。
W数は、電流と電圧の数字を掛け合わせた値で算出されます。例えば5A/1Vの充電器なら、5×1で5Wと計算することが可能です。このW数が大きいほど、充電の速度が上がります。
また、モバイルバッテリー購入の際にもうひとつ気を付けたいのが、mAh(ミリアンペアアワー)という数字です。この値はバッテリーの容量を表しており、多ければ多いほど、よりたくさんの電気を蓄えておくことができます。
現在では、機種が新しくなるごとに、スマホ自体のバッテリー容量も大幅に増えてきています。
急速充電は急ぎのときに便利な方法
急速充電は、上手く活用すれば通常充電よりも充電時間を大幅に短縮できます。
スマホ本体に悪影響がほとんどない急速充電は、忙しい現代人にとってはありがたいですね。
もしものときのために、急速充電器をひとつ持っておくと便利です。